緑蕪堂日記

現状を追認しない

ThinkPad E585導入記

まえせつ とりあえずインストールが一段落したので色々と書き残すことにする。 2年前にE560を購入して以来の買い替えである。 その際CPUはIntelの3540M→6200Uというアップグレードで、計算力自体はほとんど向上していなかった。そこに鳴り物入りでRyzenが登…

超幾何微分方程式と局所大域原理

はじめに これは Math Advent Calendar 2017 - Adventar の17日の記事です。 前口上 微分方程式論には数論の研究者が数多くの貢献をしている。全ての数学がひとつであったGaussやRiemannの時代はさておき、モダンな所ではリーマン面上でのRiemann-Hilbert対…

Katzのrigidityはオイラー標数 そして幾何学的ラングランズ対応へ

自分の所属している研究室では「カッツ」と言うとまずKac-Moody代数のVictor Kacを思い浮かべる人しかいないのだが、数論で有名なNicolas Katzも微分方程式論に重大な進歩をもたらした。Katzのrigidityの理論は久々に数学をやっていて深い感銘を受けた理論な…

Gentooでぴゅあ64bitデスクトップ環境

gentoo.hatenablog.com リンク先を読んでもらえれば全て終わりなのだが、それではつまらないので補足しよう。 GentooではGCCから何まで基本的に全て自前でコンパイルするので、32bit用のライブラリをビルドする必要があるパッケージはコンパイルに約2倍の時…

ジジェクおじさんアメリカ大統領選を語る

アメリカ大統領選が目前に近づいているが、個人的にはテレビを余り見なかったせいか、それとも両候補の泥仕合にうんざりしたのか全く大統領選と言われてもピンと来ない。これには前回オバマ大統領が選出された時があまりにドラマチックだったこともあるだろ…

ThinkPad E560導入記

先日レッツノートのヒートシンクが浮いていることが判明しブチ切れた勢いでポチったE560が昨日届き、そこそこ使えるようになったのでその過程を書き残す事にする。 おおまかなスペックはi5-6200U、メモリ8G1スロット、FHD液晶、500GBのHDDといったところ。E5…

レッツノートを分解したら愕然とした話

4年目に突入したCF-SX2なのだが、ちょっとしたブラウジングでCPUの温度が90度を越えるようになってしまい、基板やら中のSSDに危険を感じるようになった。保証も切れてしまったのでダメモトで分解してグリスの塗替えを試みることにした。手順は分解工房さんの…

Carpenter BrutのPV

【激しくNSFWなので注意】 Hotline Miamiシリーズのサウンドトラックに数多くの楽曲を提供している事で有名なフランスのエレクトロニカバンド、Carpenter BrutのPVは中々キレている。 既に作られた映画を編集しているのだがハマり具合が半端ではなく、よく見…

伝説の佐藤幹夫講義録が待望の公開(全米が泣いた)

去る7月13日にひっそりと数理解析レクチャー・ノートシリーズがKURENAIレポジトリにて公開されていた。 Kyoto University Research Information Repository: 数理解析レクチャー・ノート 3巻目がすでに京大の出版会から出ている広中先生の講義を森先生が記し…

代数的D加群と解析的D加群の違い

堀田、谷崎、竹内先生らによるD-Modules, Perverse Sheaves, and Representation Theoryという本があり、分野を超えてD加群を知ろうとする人が参照する筆頭格であるように思う。その著者のひとりである竹内先生による、この本の概説をする講演を見かけたので…

ワシの中山の補題は百八式まであるぞ

必要に駆られて代数幾何の人が息をするように使うという中山の補題を調べていたらこんなページに出くわした。 Stacks Project — Tag 07RC 中山の補題の補題の12個のヴァリエーションを纏めて書いてある。凄まじい。代数(幾何)プロパーの人はこれ+αぐらいの主…

層のCokernelが層にならない例(一発ネタ)

複素関数論を学んでいれば学部の2年生でも作れそうな例なのであるが自分はSchapiraのLecture notesで見るまで気付かなかったし、世間でも余り見かけないので紹介しておく。 を上の正則関数のなすベクトル空間の層だと思い、その間の準同型として正則微分を取…

(線形)微分方程式論のためのSheaf Theory

無論ここで層の定義や性質を述べるようなことはできないのだが、線形の微分方程式論をやる上で微分方程式をベクトル束上の接続として捉え直すと幾何学的なバックボーンが得られる。 そうした時に層として考えた方がkernel(これは解空間にあたる)を取るなど…

ARC Welderのアプリを削除する

AndroidのアプリをPC上でも使えて便利なARC Welderだが、一度にひとつのアプリしか扱えないため、古いアプリのキャッシュがどんどん残ってしまって鬱陶しい。消してしまいたいのだが調べてもイマイチ要領を得なかったので、自分でどこに保存されるか探してみ…

GentooでTeXLiveを使う話

たいていのLinuxのディストリビューションではTeX関係のパッケージが存在するが、残念ながら日本語ユーザーにとって満足できる代物ではない。私のような数物系の学生がWindowsに愛想を尽かし、UbuntuやなんかでTeX環境を構築する際にやってしまいがちなのは…