緑蕪堂日記

現状を追認しない

ThinkPad E585導入記

まえせつ

とりあえずインストールが一段落したので色々と書き残すことにする。

2年前にE560を購入して以来の買い替えである。

その際CPUはIntelの3540M→6200Uというアップグレードで、計算力自体はほとんど向上していなかった。そこに鳴り物入りRyzenが登場し、Intelの様々な問題が重なったのもあって技術革新のビックウェーブに乗るために是が非でもRyzen機が欲しくなった。本来は4月に出るとアナウンスされていてまだかまだかと待っていたのだが、去る6月16日に発売されていることに気づいて即注文した。

2年前に比べSSDが半額ほどの相場になっている反面、メモリの値段が倍ほどになっていたので、オプションでメモリを増設したほうが安いという前回では考えられない状態だった。結局、ストレージはHDD、メモリは16Gで注文、後にSSDに交換という戦略で購入することにした(この選択が後に若干の悲劇を生むことになる)。

7月2日が最速お届け日となっていたがその後音沙汰なく、注文の10日後に遅延の連絡、7月6日に発送、12日に到着という運びとなった。

 

所感

  • 小さい
  • 軽い
  • メンテナンス性は低下
  • 天板が金属製で筐体の剛性が高い

筐体はE560(見た限りではE570も)から大きく変更されており、光学ドライブが廃止、プラスチックだった天板が金属製になり、小型軽量化されている。電源もUSB Type-Cに変更、M.2 SSDスロットが追加されており、廉価版ThinkPadというよりはTシリーズのお下がりという印象になった。バッテリーも取り外し式から内蔵になっている。

光学ドライブ廃止は賛否が分かれる所だが、未だにしょっちゅうCDのリッピングをしている身としてもこの変化は喜ばしい。2年ほどE560を携行していたが、ベゼルがバキバキになってしまっている。光学ドライブよりも筐体が軽く丈夫になるほうが嬉しい。そして小型化に伴いキーボードの右側のキーが詰められている。自分にとっては全く気にならなかったが、カーソルキーとPgUP/PgDnの間に隙間が出来て打ち間違えにくくなっているのは地味に嬉しいポイントであった。

E560ではメモリ/ストレージ交換用のハッチが設けられ、ネジ3本でキーボードの交換が可能だったが、E580系では底板が一枚になっていて、何を換えるにもとりあえずこれを外さないことには始まらない。何箇所かツメで留まっているので分解にマイナスドライバーか何かで隙間をこじ開ける必要がある。

ストレージは2.5インチとM.2スロットの2系統。初めてM.2規格でSATA接続のSSDを購入してその小ささに驚いたのだが、これが実は不正解。NVMe規格のSSDしか認識しないので注意されたい。互換性があると思っていたが、購入時のオプションにはNVMe接続のSSDしか無いことからデスクトップ用ならともかく廉価PCのマザーボードなので機能を絞っていると頭が回っていても良かった。SATA接続の方が価格が安く目がくらんでしまったのもあっただろう。SATA接続のものは将来使うことにして、NVMe規格のSSDを買い直し、無事認識するに至った。

他にも変更点はあるが、地味なので割愛。

 

Gentoo Install Battle

Gentoo Installの枕詞であるThinkPadを買ったので当然GentooをInstallする。Gentooは英語が読めれば誰でもインストールできる*1のでオススメのOSである。前回はそのままストレージを移植するだけだったので、ゼロからGentooをインストールするのは初めてインストールした4年ぶりぐらいになるだろう。先に余っていた2.5インチSSDWindowsをインストールしておき、物理的デュアルブート体制を組む。WindowsはあるとBIOSの更新に便利である。UbuntuをインストールしてあるUSBを差しいざ起動、と思ったがいきなり動かない。ググった所、次のブログが動くカーネルパラメーターを既に調べておいてくれていた。感謝!

Getting Linux to boot on Lenovo Thinkpad E485/E585 | Evil Azraels Stänkerblog

intremap=off

spec_store_bypass_disable=prctl

カーネルパラメーターに加えることで無事に動いてくれる。当初noapicを使うと良いとのことだったのだが、これを使うとサスペンドカーネルパニックを起こすのか固まってしまうので注意されたい。

久々にGentoo Installの公式ハンドブックを頭から読んでインストール作業を行った。ブートパーティションのフラグを間違えるとかfstabとカーネルコンフィグのルートディレクトリの指定の仕方が違うとかのポカミスで再起動できずに時間を溶かしはしたが、4年の経験値があるのでその後は万事順調である。AMD関係の設定は一通り公式Wikiの説明の通りに書くことで無事動いてくれた。4コア8スレッドだとコンパイルが飛ぶように早いが、流石にリッチなGUI環境を整えるとなるとコンパイルに寝て起きるぐらいは掛かったと思う。6200Uだと動画を見る際にテアリングが発生したり、外部モニターとの接続を切るとたまにGnomeが落ちるなどの不具合があったのだが、今はそのような症状は一切無く、ほぼ完璧に動くと言って差し支え無いだろう。

省電力に関しては苦手なようで、負荷なしの状態でもクロックが1.3GHzよりは下がらず、400MHzがミニマムだった6200Uに比べ、powertopで見てみるとアイドル時で3W程度差があるようでこれが駆動時間に直接効いてくる。とはいえこのクラスのPCであれば充電器を持ち運ぶ必要があることには変わりないので、圧倒的(コスト)パフォーマンスを考えれば十分許容範囲ではないだろうか。

AMDLinuxThinkPadで快適なPCライフ、いかがでしょうか。

*1:真面目な話、Ubuntu等のOSだと大型アップグレード時に設定ファイルを吹っ飛ばしてくれたりするので、長い目で見るとソフトの更新に係る設定ファイルの変更を逐一ユーザーの目に通すGentooの方が楽だと思っている。